バイポーラ膜とは陰イオン交換層と陽イオン交換層を張り合わせた構造を持つイオン交換膜です(図10)。
この膜の両側に、水の理論分裂電圧である0.83V以上の電圧を印加すると、膜内の水が酸(H+)とアルカリ(OH-)に分裂します。
バイポーラ膜電気透析は、バイポーラ膜にアニオン交換膜とカチオン交換膜を組み合わせた3室法パイポーラ膜電気透析槽(図8)に無機塩(例えばNa2SO4)を供給することにより、陰イオン(SO42-)はアニオン交換膜を透過しバイポーラ膜で分裂されたHイオン(H+)と結合して酸(H2SO4)を作り、一方で陽イオン(Na+)はカチオン交換膜を透過してバイポーラ膜で分裂されたOHイオン(OH-)と結合してアルカリ(NaOH)を作ります(中和の逆の反応が進行します)。
有機酸塩(弱酸の塩)の場合は、バイポーラ膜、カチオン交換膜を組み合わせた2室法バイポーラ膜電気透析槽(図9)に供給することにより、有機酸とアルカリが作られます。
水を低い電圧で、酸(H
+)とアルカリ(OH
-)に分裂します。
電極反応が無いため酸化還元反応がおこりません。このため副生物は発生しません。
単一の工程で無機塩、有機酸塩から酸とアルカリが作れます。
酸とアルカリの濃度をコントロールできます。
電解法と異なり、1セル毎に電極が不要なためガスの発生も少なくなります。
廃液量を減らすことができます。
再生工程を必要としないため、長期連続運転可能です。
・有機酸塩から有機酸の製造 ・アミノ酸塩からアミノ酸の製造
・塩廃液から酸・アルカリの製造 ・無機塩から酸・アルカリの製造